<この世界は、すべての主体が、すべての場所で、互いに依存し合って成り立っている>
はるか昔に龍樹が唱え、現代の物理学で解明しつつある世界観では、
たった一つの司令塔のような制御の中心はなく、
すべてのものが中心となり得ます。
中心はいつでも逆転し得るし、中心が多数存在することもあり得るはずです。
ヒトも、ヒト以外の生物も、あるいは非生物も、
地上のすべてのものが主体にも客体にもなり得て、
互いに関係し合うことで現実をつくっていけるというビジョンは
堅牢で揺るぎないと信じていた中心を失いはじめた世界における希望なのです。
メインテーマ《中心はどこにでもあり、多数ある》より抜粋
Arts & Library Show《中心はどこにでもあり、多数ある》
Gallery Pictor 2022年プログラム
(English follows after Japanese.)
Gallery Pictor 2022年プログラム《中心はどこにでもあり、多数ある》のオープニング展は、全8名の参加作家によるグループ展です。
《中心はどこにでもあり、多数ある》というコンセプトを各作家がどのように捉え、どのように表現しようとしているか、それぞれの視点の入口に皆さんをご案内します。
本展ではArts & Library Show の名の通り、8名の作家の作品に加えて、彼らが選出した書籍や音楽も会場内に設置します。作家の従来からの制作テーマや、今回のメインテーマに寄せた思いを感じ取っていただければ幸いです。
参加作家
Arts & Library Show《中心はどこにでもあり、多数ある》
開催概要
- 会期 : 2022年3月12日(土)〜4月24日(日)
- 時間 : 11:00 〜 18:00
- 休廊日 : 毎週月曜・火曜
- 会場 : Gallery Pictor
アーティスト・ステートメント & プロフィール
(順不同)
Artists' Statement & Biographies
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浅野井 春奈|Haruna ASANOI
貝殻の軸=「中心」から外側へ世界を広げていくようなイメージで、貝殻の形をもとに彫刻を制作します。「中心はどこにでもあり、多数ある」、その中心から派生する世界がそれぞれどのような形になっていくのか、1年間のプログラムを通して提示、発見していきたいと考えています。
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畑山 太志|Taishi HATAYAMA
物事を捉えるとき、それを確固たる輪郭をもったものとして認識し、すっかり理解したものだと思ってしまうことがある。注意深くいなければ、名付けられているものはすべてその名前通りの存在だ。しかし、言葉が与えられる以前の知覚や感覚の世界では、それらの物事は絶えず流動し、常に生成を繰り返す活気あふれる詩的な場のように思う。
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小野 久留美|Kurumi ONO
「写真」を「土の中に埋める」という手法で作品を制作していると、私たちは土中の生物や目に見えない微生物とも共に関係しあってこの地球に生息しているのだと改めて気付かされる。天候や季節は常に同じではなく、土の状態も毎日異なる。「写真」は本来、複製可能なマテリアルだが、土の中から取り出したものは全て違った表情をしていて、私を驚かせる。
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星野 美津子|Mitsuko HOSHINO
マクロとミクロ、視点を変えて見れば、そこにはそれぞれ統一され完結したシステムが立ち現れますが、同時にそれらの「中心を持ち完結した存在」たちは、それぞれが密接に繋がり合い、展開の螺旋を描きながら無限に繰り返されるエネルギーの流れとして時空を超えて広がっている・・・わたしはこの宇宙にそんなイメージを持っています。
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石川 直也|Naoya ISHIKAWA
この作品は彫刻一つでは立つことができません。しかし壁に頼ることでどこでも立つことができるのです。私が自然と思える人体彫刻を作れたのは、おそらくアトリエの土地や木々、彫刻する石、それから周りの人々に頼ることができたからだと思います。
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TETTA|Satoko SUGIMOTO
一つのものを構成するのにまず中心があり、その中心に様々な情報がくっつき、離れ、「今」を構成する。生物は、まず誕生し「生きる」という中心を得て、時間の経過とともに得たたくさんの情報から幾つもの中心を獲得していく。
<全文を読む> -
武田 哲|Tetsu TAKEDA
人、各々が、自分の世界の創造主で、つまり中心であり、それは人の数だけ存在し(中心はどこにでもあり、多数ある)、そして根っこの部分で一つに繋がっているのがこの世界であるのならば・・・
<全文を読む> -
ユキ・ホワイト|Yuki WHITE
互いに尊重し偏見や決めつけから自由になった世界では、既存の価値観にとらわれない斬新なアイディアやアプローチで新しいものを生み出したり、複雑に絡み合った問題の解決策を編み出したりして、より良き社会へ向かうことができるのだろうか。
<全文を読む>
Arts & Library Show《Centers are Everywhere, and Numerous》
Gallery Pictor 2022 year's program
The opening exhibition of the Gallery Pictor 2022 program 《Center is Everywhere, and Numerous》will be held as a group exhibition featuring eight artists.
This exhibition will take you to the entrance of each artist’s point of view to see how they interpret the concept ‘Center is Everywhere, and Numerous’ and how they try to express it.
As the name ‘Arts & Library Show‘ implies, in addition to the works of the eight artists, books and music selected by the artists will also be installed in the exhibition space. We hope you will be able to get a sense of the artists’ original production themes and their thoughts on the concept of this exhibition.
Arts & Library Show -Centers are Everywhere, and Numerous-
- Artists (To see each artist’s statement and biography, click the name below or the image above) :
ASANOI, Haruna / HATAYAMA, Taishi / HOSHINO, Mitsuko / ISHIKAWA, Naoya
ONO, Kurumi / TAKEDA, Tetsu / TETTA (SUGIMOTO, Satoko) / WHITE, Yuki
- Duration : Saturday, March 12th –Sunday, April 24th, 2022
- Open hours: 11:00 – 18:00
- Close on every Monday & Tuesday
- Venue : Gallery Pictor